今回は地中海料理に欠かせない
オリーブオイルがどのようにして出来るのか
フラントイオ(搾油所)の写真をまじえながら詳しく説明していきますね。
オリーブの色について
オリーブにはなぜ緑色をしているもの、黒いものがあるのでしょう?
それは熟成期間の違いによるものです。
オリーブの緑色は熟成を増すにつれて黒色に変色していきます。
大抵オリーブオイルを作る時には
緑色も黒色も混ぜて搾油しますが
緑色のオリーブの香り、黒色のオリーブの香りは違うので
オリーブの熟成度別にオリーブオイルを絞っている農家もあります。
緑と黒のオリーブの実を手摘みで色分けするのは手がかかりますし
その分お値段も高くなりますが
機会があれば是非試飲してその違いを感じてみてください。
1.オリーブの収穫・搬送
オリーブが収穫されたら、すぐにフラントイオ(搾油所)に運ばれます。
収穫から24時間以内に搾油しないと酸化や発酵が進み
オリーブの品質が下がるからです。
フラントイオに運ばれたら保管状態は
前回の記事でも書きましたように
・直射日光の当たらない場所
・通気性の良い場所
であることに気をつけます。
オリーブの収穫時期は10月から遅くても2月までですが
今回の写真のオリーブは10月に収穫してまだ緑色の
オーリオ・ヌォーヴォ(新オリーブオイル)になるものです。
まだ完熟しきっていない若い緑色のオリーブから採れるオイルは
ピリリと舌に辛味を感じ、フレッシュな香りが病みつきになる美味しさです。
2.葉を取り除き、洗浄
収穫されたオリーブには葉が沢山混じっておりますので
これから機械にかけて葉を取り除きます。
小分けにされて葉が取り除かれます。
葉が取り除かれたら洗浄されます。
3.オリーブの実を粉砕
洗浄されキレイになったオリーブはこの工程で種ごと粉砕されます。
この工程は電動の石臼を使った方法や
ステンレスの刃の粉砕機にかけられる方法など様々です。
こちらは石臼を使って実を種ごと潰しています。
こちらは電動の刃で実を粉砕しています。
この工程はそれぞれのフラントイオのやり方に従います。
4.ペースト状になったオリーブを練る
前工程でペースト状になったオリーブは
油分と水分が乳化された状態になっています。
全工程「粉砕」で乳化されたペーストをここで練ることにより
油分を浮き上がらせ、水分を切り離していきます。
この工程は1時間ほどかかり
その間機械で練る作業中にオリーブペーストの温度が上昇しがちです。
特に古い機械を使っている搾油所では30度を超える高温となってしまいます。
ここで最新式の機械を使うと27度程度で作業が続けることができ、
spremitura fredda 「低温圧搾」が実現されます。
30度以上に温度が上昇すると劣化に繋がるので温度調整には気をつけます。
5.その1 現代の搾油法~遠心分離機にかけて終了~
練る作業で油分を浮かせた後
遠心分離機にかけて固体(オリーブの搾りかす・sansa)と液体に分離します。
そしてもう一度液体を遠心分離機にかけて
油分と水分に分けると一番搾りのオリーブオイルの出来上がり。
5.その2 伝統的圧搾法の場合
現代の搾油法では4.の練りの工程から遠心分離機にかけて終了でしたが
伝統的圧搾法は2.の電動の石臼で粉砕した後に
練りの工程を省略して圧搾の工程に移ります。
円形のマットに粉砕したオリーブのペーストを敷いていき
圧搾しやすいよう数枚に一枚はステンレスの円盤を重ねていきます。
うず高く積み重なったオリーブペーストを
圧搾機にかけて下からプレスすると
固体(オリーブの搾りかす・sansa)と液体に分離されます。
液体をすぐに遠心分離機にかけて油分と水分に分けて出来上がり。
素晴らしい色のエキストラ・ヴァージン・オリーブオイル。
伝統的な圧搾法はコスト的に高くつく方法です。
合成繊維で出来たマットを洗う手間や人件費も嵩みます。
それでも小さなこだわりを持った農家は
今もこの伝統的な方法を貫いています。
こちらはおまけ画像です。
フラントイオの外に山のように吹き出されたオリーブの葉っぱ。
機械から吸い込まれたらこんなところから出てきていたんですね。
こちらはsansaと呼ばれるオリーブの搾りかす。
遠心分離機で分離されたらこんなところから出てきていたのでした。
こちらはオリーブの搾りかすのサンサ。
他の業者が引き取りに来て、2番絞りのオイルを取るのに使うそう。
スーパーマーケットでOlio di sansaという名で売られている
安いオイルがそれですね。
以上フラントイオの一連の流れでした。
オリーブ農家にとって収穫してフラントイオに持っていき
オイルになるその時はこの上ない喜びの瞬間であり
周辺地域の住民も新オリーブオイルを味わえる日を毎年心待ちにしています。
今回のオリーブオイルはこのお爺さんの農園のものでした。