地中海沿岸地方で伝統的に食べられているパン

それは日本で出会う柔らかなタイプのものとは違い

もっと素朴で食感はふんわりというよりボソッとしていて

噛みしめる程に味わい深いものが多いです。

 

 

無発酵パンの時代

小麦粉やライ麦粉と水、塩、酵母を捏ね発酵させて

オーブンで焼くのが現代のパンの基本の製法ですが

紀元前4000年頃 (今から6000年程前)のメソポタミアでは

主に粟や大麦を水と捏ねて石の上で焼く

薄い無発酵パンが主流でした。

 

 

 

現代のふっくらとしたパンを焼くには

小麦粉に含まれている粘りのあるグルテンというタンパク質が必要ですが

大麦はそのグルテンを含まないため、パンを焼いても膨らみません。

古代のパンは薄くパリッとした

現代のパンとは全く別物であったことが解ります。

 

 

pane azzimo

 

こちらはイスラエルのマッツァと呼ばれる

「種の無いパン」つまり酵母を含まない無発酵パンです。

ユダヤ教における復活祭(イースター)である

過越の祭り(ペサハ)で食べられることで有名です。

マッツァは小麦粉を使っておりますが

古代のパンはこのように無塩クラッカーに近いものでした。

 

 

 

Mazzot

こちらもマッツァー、イタリアではPANE   AZZIMOと呼ばれます。

イタリア在住の方はこのパッケージ、よくスーパーで見かけますよね?

(写真はwikiより拝借)

 

 

 

Pane azzimo Matzah

中身はこんなカンジ。

ヨーロッパのホテルの朝食でも大抵マッツァのパッケージが置いてあるので

今度旅行される時には注意して見てみてください。

お手軽に古代パンを味わって古の時に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

 

 

 

偶然なる発酵の発見

発酵のはじまりは諸説ありますが

古代エジプトの奴隷女性が

小麦粉と水を混ぜた生地を数時間置き忘れたことから

偶然に外界の酵母の働きにより発酵が進み、

腐らせてしまったと思ったその生地に

時間もないのでもう少し小麦粉を足して捏ねて焼いてみました。

 

するとその生地は膨らんで柔らかく主にとても好評だったことから

発酵の技術が取り入れられたと言われています。

これが紀元前3500年(今から5500年程)前のことです。

その後、発酵させた生地を少し取っておいて

翌日のパンの仕込み時に新しい小麦粉を混ぜて放置すると

より発酵がうまく進むことを発見したことで

「パンの種」である酵母を残す習慣が生まれました。

 

 

古代エジプトのナイル川流域の肥沃な土地柄

小麦や雑穀の栽培は盛んに行われ

美味しいパンを食べられることは富の象徴として

ファラオに献上され、ピラミッド建築の労働者にも振る舞われ

当時のパンはお金と同等の価値を持ってたのでした。

 

 

 

 

参考資料  Nel nome del pane / a cura di Oddone Longo, Paolo Scarpi